マットレスや布団を買うときに「低反発」と「高反発」の違いがわからなくてお困りなときはないだろうか?
インテリア・家具の販売や従業員教育にたずさわる筆者も、この手の悩みを耳にすることは多い。
販売されている商品には「良いところ」しか記載されていないので、口コミ・レビューにデメリットが書いてあるとどちらを信じていいのかわからなくなるからだ。
そこでこの記事では「低反発」と「高反発」のメリットデメリットを忖度ぬきにして解説していく。
あなたの寝心地の改善につながる情報が提供できれば幸いだ。
低反発ウレタンのメリット・デメリット
手で押すと柔らかく沈むフワっとしたウレタン、それが「低反発ウレタン」というものだ。
NASA(アメリカ航空宇宙局)がスペースシャトルの乗員のために開発された素材でもあり、「身体にぴったりフィットして、身体にかかる荷重を分散させる」ということに特化している。
低反発ウレタンのメリットは血行が悪くなりにくいこと
低反発ウレタンの最大のメリットは寝ている間の”血行(代謝)が良い”という点だ。
血行(代謝)が悪いと日々の疲れが回復しないのでいいことはない。
低反発ウレタンが柔らかいのは「背中全体にフィットすることで、身体の一部に荷重が集中しないようにしている」という目的のためだ。
固い地面にずっと座っているとお尻がしびれたことがあるだろう。
あのしびれが8時間も肩や背中や腰で起こっていると状態は決して体にはよくないのだ。
低反発ウレタンのデメリットは①寝返りしにくさ②蒸れて暑いこと
反対にデメリットは「寝返りが打ちづらく疲労がたまる」「熱気がこもって夏は暑い」という点だ。それぞれ解説する。
寝返りはしづらいが、男性女性で個人差あり
実際に試してみて欲しいのが「寝返りの打ちづらさ」だ。
といってもお店のマットレスで闇雲にゴロゴロしていてもわからないと思うので、上図の試し方をやってみて欲しい。
一晩の理想の寝返り回数が20~30回と言われるが、1回1回無意識に「フンッ」と力んでいたら疲労回復どころか疲れてしまう。
ただし筆者の接客経験による傾向として『筋力のある男性は全く気にしない(ならない)』『小柄な女性がしんどいと感じがち』なので、女性でも体格や筋力が影響していると言える。
夏は熱気が逃げないので暑い
低反発ウレタンは身体に柔らかくフィットするため、そのぶんすき間がなくなってしまい通気性が悪い。
さらにウレタン自体も通気性は悪い方なので、背中に熱がこもりやすく夏は寝苦しく感じる人が多い。
低反発ウレタンのマットレスが向いている人と不向きな人
寝返りのしんどさを感じない人、また夏の夜はエアコンをかけて寝る人に向いている。
低反発ウレタンのフィット感で無駄な寝返りを発生させない深い眠りが得られるだろう。
逆に寝返りチェックでしんどさを感じたり、夏の夜に扇風機で暑さ戦っている人は避けておいた方が無難である。
寝汗と蒸れが気になって寝返りを打つたびに身体がしんどい思いをするはめになる。
高反発のメリット・デメリット
手で押すと力強く跳ね返してくるクッション性がある、それが高反発という素材だ。
市場に出回っている”高反発”と名の付くマットレスや枕は「高反発ウレタン」と「ラテックス」と「立体メッシュ構造」の3つ。
この3つとも「寝返りがラク」という点は共通である。
なのでそれ以外のメリットデメリットを素材ごとに分けて説明していく。
高反発ウレタンのメリットは3つの中で一番低価格
反発力を強めに作ったウレタンというシンプルな作りのため価格は安い傾向にある。
ただしフラット形状で硬すぎる高反発ウレタンはフィット感がなさすぎて、肩、背中、腰の血流が妨げられやすい。
「厚さ〇〇㎝」というように”分厚さだけがウリ”のものは避けた方が無難。
写真のように波型加工(プロファイル加工)は比較的フィット感がよいので少し割高でもこちらを選ぶ方がよい。
高反発ウレタンのデメリットは通気性の悪さ
ウレタンという素材自体の通気性はあまり高くないので夏の夜の蒸し暑さ軽減には効果はない。
波型加工(プロファイル加工)されたモデルや穴あき加工されたモデル多少通気性がマシになる。
ラテックスのメリットは①フィット感②反発力のバランスの良さ
ゴムの樹液を発泡させて作られたラテックスは、「身体を沈み込ませる柔らかさ」と「寝返りに必要な反発力」をどちらも持っているというのがメリットだ。
低反発のところで述べたとおり、身体の一部に負荷がかかると血行が悪くなるため、ある程度の柔らかさが必要だ。
ラテックスは肩や腰の出っ張りを必要な分だけ沈み込ませる柔らかさを備えていて、かつ寝返りもしやすいというバランスの良い素材と言える。
ラテックスのデメリットは①通気性の悪さ②本体の重さ
ラテックス自体の通気性はよくないので写真のように穴あき加工されたものが多い。
大き目の穴がしっかり空いていれば多少マシ。
高反発素材の3つの中では1番重いので、布団の床上げや陰干しで持ち上げる際にはちょっとしんどい。特にシングルより大きいサイズは引きずるのも一苦労だ。
立体メッシュ構造のメリットは①最高の通気性②軽さ
お湯を注ぐ前のスープ春雨みたいな形状にしたのが立体メッシュ構造だ。
ポリエステルやポリエチレンの樹脂でできている。
有名なのは「エアウィーヴ」。
ニトリであれば「カルファイバー」。
身体を沈み込ませる「柔らかさ」、寝返りできる「反発力」、風が吹き抜けるレベルの「通気性」を兼ね備えている。
立体メッシュ構造の通気性は感動レベル
とにかく熱がこもらない。
あおむけだと背中にこもりがちな熱気は自然と逃げてくれる。
人間はコップ一杯分の寝汗をかくが、寝汗をかいてもそのまま乾いてしまう場合もある。
暑い日本の夏にピッタリの涼しさを得られるものだと思ってもらっていい。
立体メッシュ構造は持ち運びらくらく
運ぶのがラクだと気軽に陰干しできるし、中にはシャワーで丸洗いできるモデルもある。
ベランダやお風呂までもっていくのに女性でも苦労はしないはずだ。
シングルサイズであればウレタン系より1㎏ぐらい軽い。
立体メッシュ構造のデメリットは①硬さ②価格が高いこと
反発力の高いがゆえに分厚さが4㎝以上ぐらいからフィットする前に身体が押し返されてしまう。
特に体重の軽い女性は注意(自分の重さで必要な分すら沈まないため)。
また高反発系の3つの中では1番高価である。
エアウィーヴのあと乗せタイプで37,400円~、マットレス一体型で110,000円~とお手頃な価格とは言いづらい。
高反発マットレスが向いている人と不向きな人
夏の夜の暑さにお悩みであれば、立体メッシュ構造を採用しているマットレスを第一候補にしてもらっていい。
夏の涼しさは今までの寝具の常識がひっくり返るほどの感動がある。
代表的なのはエアウィーヴやニトリのカルファイバー入りのマットレスたちだ。
ただしメッシュ構造自体の分厚さが4㎝以上になってくると体重の軽い女性は注意。
必要な沈み込みがなくなってしまい、仰向けなのにエビぞりになり背中や腰が痛くなることもある。
おすすめは高反発の立体メッシュ構造
筆者自身が今からゼロから寝具を揃えるとなれば「立体メッシュ構造」が採用されているマットレスを選ぶ。
さらにあと乗せのマットレストッパーではなく、マットレス一体型になっているものにする。
人間が寝返りをうてば必ずトッパーだけがズレるので直す手間が発生するからだ。
コスパが高く、返品保証サービスが充実している2つが候補になり得るので紹介しておく。
エアウィーヴなら”ベッドマットレスS04”がおすすめ
腰部分を硬く、肩部分を柔らかくの構造は隙の無いすばらしい仕組みになっている。
カバーはもちろん立体メッシュも丸ごと洗えるのも衛生的で気持ちよく眠れる。
ニトリなら”NスリープラグジュアリーL2-02KF”がおすすめ
こちらはポケットコイルの上にカルファイバーを一体化させたタイプで、あるべき背骨のラインを保ち血行にも良いクッション構造ができている。
それなのにエアウィーヴのマットレス一体型のどのモデルよりも価格が安い(ニトリのコスパが異常)。
詳細はニトリのエアウィーヴ?NスリープラグジュアリーL2ー02KFはおすすめか?で解説しているのでぜひご覧いただきたい。
最後までご精読いただきありがとうございました。
世の皆様の寝具選びのお役に立てれば幸いです。
コメント